2020年クラシック最後の一冠をかけた戦いが
今年は牝馬牡馬ともに無敗の二冠馬が誕生して、秋も大注目です。
なので最後の一冠を楽しむために、
デアリングタクト、コントレイルについて書いてみようと思いました。
今回は牝馬無敗三冠に挑むデアリングタクトのこと。
良かったら最後までお付き合いください。
1.無敗三冠牝馬について
まず、無敗の三冠牝馬についてですが、
今までの日本競馬の歴史上いません!
三冠馬はアーモンドアイ(2018)、ジェンティルドンナ(2012)、アパパネ(2010)、スティルインラブ(2003)、メジロラモーヌ(1986)と5頭います。
春はデアリングタクトが無敗二冠を達成して、大いに盛り上がりました。
歴史的記録に大きな一歩を踏み出したのです。
またミスオンワードの時代は三冠目がなかったので、無敗二冠が牝馬クラシック戦線のトップでした。
秋華賞ができたのは1996年、それ以前は1976年に創設されたエリザベス女王杯が3歳牝馬限定だったので三冠目とされていました。
秋華賞創設とともにエリザベス女王杯は3歳以上牝馬限定になりました。
今までの三冠馬でメジロラモーヌだけエリ女が三冠目だったということです。
それにしても、1957年以降だって名だたる名牝がいたけど無敗二冠は成し得ていなかったんですね。
時代が進むにつれて馬たちの環境は良くなっていると思いますが、
馬という生き物であること、人という生き物が乗ることはずっと変わらないことで、簡単に勝てる世界ではないのだと思いました。
2.デアリングタクトのプロフィール
本馬は日高地方の長谷川牧場で誕生しました。
普段は大人しく、ごはんもたくさん食べて、レースは気負うところがあるけど指示にも従い、オンオフがしっかりできる見本になれるような馬です。
お母さんデアリングバードは桜花賞3着馬のデアリングハートとキングカメハメハの子供で、良血であったものの体質が弱くデビューも遅れ、未勝利戦1勝で競走馬時代を終えました。
現役引退後に繁殖牝馬として社台グループから売りに出され、約389万円で購入したのが長谷川牧場でした。
1年目にサウスヴィグラスとの牝馬が生まれましたがデビューせず、
2年目に新種牡馬のエピファネイアが種付けされてデアリングタクトが生まれます。
デアリングタクトは当歳のセレクトセールでは売れ残り、1歳のセレクトセールでノルマンディサラブレッドレーシングに1,296万円で落札されました。
取引価格が安価で、今の活躍を見るとみんなの目は節穴だったのか?と思いますが、
デビュー前、杉山調教師も松山騎手も「いい馬だけど動きも普通でクラシックに行ける」という意識はなかったようです。
またリスグラシューも担当していた装蹄師さんも二冠達成後でも「この馬格で二冠馬かぁ・・」と感じたほどなので、わからない爆発力があるのかもですね!
3.デアリングタクトの血統表
本馬の血統表を確認してみます。
まずお父さんは、名牝シーザリオ最初のGⅠ馬となったエピファネイアです。
エピファネイアはシンボリクリスエスを父にもつロベルト系で、皐月・ダービー2着の菊花賞馬です。
4歳時にジャパンカップも勝利しています。
気性面は燃えやすくレースで行きたがってしまう弱点があり、まともに本領発揮をしたレースは少なかったかもしれないです。
逆にまともに走れていたら、、と思ってしまいます。
福永騎手が「初めてうまく乗れた」と言った菊花賞は、ダービーの惜敗(私も落胆した)があったし、“ほんと良かったね”と言ってあげたいレースでした。
お母さんは上記したデアリングバードでキングカメハメハを父にもつミスプロ系、祖母デアリングハートは桜花賞3着、NHKマイルカップ2着、ヴィクトリアマイル3着、GⅢでは府中牝馬S2勝、クイーンS1勝を挙げている1600〜1800を主戦場としてきた実力馬です。
曽祖母デアリングダンジグは、デアリングハートの他にピットファイター(父プルピットの牡馬、10−3−0−11、GⅢダート3勝)を輩出していて母としての功績を残しています。
四代母Impetous Gal(インペテュアスギャル)は北米10勝しGⅠ馬も輩出、そしてその母となるのがImpetous Lady(インペテュアスレイディ)です。
牝系を遡っていくと、競走馬として実績を残す、もしくは繁殖牝馬としてしっかり活躍する馬を輩出していて、脈々と枝葉を広げていて素晴らしいなと思いました。
父方の祖母シーザリオと母方の祖母デアリングハートが同世代でともに桜花賞を戦い2、3着だったのですが、そのふたりの孫デアリングタクトが見事桜花賞馬になった話は有名ですよね。
両者にとってかわいすぎる孫だと思います。
エピファネイアはシンボリクリスエスのパワーを受け継ぎつつもシーザリオの気性の激しさとそのエネルギーを受け継いでいます。
デアリングバードは未勝利戦1戦で終わってしまいましたが、
基はキンカメの母系の能力を引き出す長所にデアリングハートの東京阪神1600〜1800やダートも走れるスタミナ、瞬発力も通っている血だと思われます。
デアリングタクトの配合は、エピファネイアのきつめの気性から成る爆発力とデアリングバードに潜在している両親のバランスの取れた中距離向けの能力で形成されているのかなと感じました。
オークスで距離不安を拭いましたが、古馬になってから高いパフォーマンスを発揮できる距離というのが確認できそうです。
内包する特に四代目の大種牡馬達をみると、
スタミナ、スピード、パワー、底力と全部バランスよく行き渡ってるようにしか思えない。。
それのいちばんの起爆剤となっているのがサンデーサイレンスの4×3なのかもしれません。
エピファネイア自身は、サンデーサイレンスが3列目にいる牝馬なら4×3の配合ができるので、デアリングタクトの活躍を見ると今後も種牡馬として期待したいです。
4.まとめ
■牝馬の無敗三冠
無敗二冠でも63年前のミスオンワード以来で、牝馬の無敗三冠史上初となる可能性にも注目!
■デアリングタクトの出生
日高地方の長谷川牧場で誕生し、あまり注目されるような馬体でもなく当歳のセレクトセールでは売れ残ってしまったが、真面目にごはんも食べて無事にデビューし非凡な瞬発力を発揮!
牝馬ながらにオンオフのスイッチをしっかりできるアスリートへ。
■サンデーサイレンスの4×3
3×4は奇跡の血量と言われる配合。
(デアリングタクトの場合は父系の四代目と母系の三代目だが、今はどちらの場合でもそれを指すようになっている)
2019年11月のデビューから競走馬としての馬生が本格的にスタートし、リステッド競走のエルフィンステークスを快勝。
そこで松山騎手も杉山調教師もデアリングタクトの瞬発力に驚き、クラシック挑戦を決めました。
そして期待通りに重馬場の桜花賞、距離も延長された良馬場のオークスも勝ち抜き、目の前に三冠目がやってきました。
2戦目からゲート前にイレ込みを見せるようになってきたのはエピファネイアの血なのか、そこの成長というのは気になるところです。
でも松山騎手のやさしくも思いっきた騎乗は、デアリングタクトの従順さと秘めた闘志にきっと合っているので活躍してくれると期待しています。
そして無事にレースを終えてほしいし、今後も怪我なく走ってほしいです。
秋華賞、他の馬も世代トップの瞬発力を持つデアリングタクトにどう立ち向かっていくのか気になりますね。
たのしみにしましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!